全国の警察が19日までの1カ月間に変死事案などで取り扱った遺体のうち、新型コロナウイルスに感染していたケースが5都県で11件あったことがわかりました。多くは自宅で倒れている状態で見付かり、その後のPCR検査で陽性と判定されました。
警察庁や警視庁によると、11件の内訳は東京都6件、兵庫県2件、埼玉、神奈川、三重の3県で各1件。感染が死因とみられるケースと、別の疾患などが死因の両方のケースがありました。保健所などに届けており、各地の感染者数や死者数に含まれているとみられます。
このうち、東京都新宿区歌舞伎町のオフィスビルでは、3月30日、警備員をしていた66歳の男性が勤務中に倒れているのが見付かり、搬送先の病院で死亡しましたが、PCR検査で新型コロナウイルスに感染していることが発覚しました。
男性が勤めていた会社によりますと、感染対策として勤務前の検温を行っていたということですが、男性は発熱はなく、体調の異常も見当たらなかったということです。
会社では、オフィスビルを消毒するとともに、同僚などを自宅待機にしたということです。
また、4月9日未明、東京都足立区のJR北千住駅近くの路上で60歳代の男性が倒れているのが見付かり、搬送先の病院で死亡しましたが、翌日PCR検査をしたところ陽性反応が出たということで、感染による肺炎で死亡した疑いがあるとされました。
ほかにも、駆け付けた救急隊員などに「肺のあたりや胸が苦しい」「発熱がある」などと訴えていた人もいたということです。
感染症対策に詳しい北海道医療大学の塚本容子教授は、特に高齢者の場合、症状の自覚がなかったり検査を受けていない人でも、実は感染していて急激に症状が悪化するリスクもあるとした上で、「感染のまん延が把握できているもの以上に広がっていることを示す証拠といえるのではないか。海外ではこうした事態が相次いだ後、爆発的な感染の拡大、いわゆる『オーバーシュート』が起きているので、検査態勢を一層強化する必要がある」と指摘しています。
2020年4月21日(火)
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