■J&Jコロナワクチン、ファイザーかモデルナ追加接種で免疫強化 アメリカで研究

 アメリカ国立衛生研究所(NIH)は13日、アメリカの製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスワクチンを接種した人は、ファイザー製かモデルナ製の追加接種(ブースター接種)を受けたほうが予防効果が高まるとする研究データを公表しました。当初接種したJ&J製よりも、メーカーの異なるワクチンを組み合わせる混合接種が有効であると示唆しました。
 NIHは混合接種に関する臨床試験(治験)のデータを、査読前の論文を投稿するサイトに公開しました。アメリカの10都市で行われた治験には、ファイザー製、モデルナ製、またはJ&J製のいずれかを接種した成人458人が参加しました。それぞれが当初接種したメーカーと同じ、または異なるワクチンを追加接種し、約2週間後の抗体レベルを比較しました。
 当初J&J製を接種した人を比較したところ、同じJ&J製を追加接種した人よりも、ファイザー製とモデルナ製を追加接種した人のほうが抗体レベルが4倍に膨らむ割合が高くなりました。一方、当初ファイザー製を接種した人がモデルナ製、当初モデルナ製を接種した人がファイザー製をそれぞれ追加接種した場合、抗体レベルが4倍に膨らむ割合は同水準でした。
 論文では「当初接種したメーカーにかかわらず、追加接種により免疫反応が生じることを示唆している。混合接種はワクチンの予防効果を最適化するために、有益である可能性がある」と指摘しました。
 J&J製は1回接種型で、「ウイルスベクター」と呼ばれるワクチン。ファイザー製とモデルナ製は2回接種型で、「mRNA(メッセンジャー RNA)ワクチン」と呼ばれる新技術を使ったワクチン。
 もっとも、J&Jは自社ワクチンの追加接種の承認を求めており、アメリカ食品医薬品局(FDA)は15日にJ&J製の追加接種について審議する第三者委員会を開く予定です。アメリカメディアによると、今回のNIHの研究データは第三者委員会にも提出されます。
 FDAは13日に公表した文書で、J&J製の追加接種について「1回目の接種から2カ月後に2回目を接種することが有益である可能性を示唆している」と述べました。ただ、データは限定的で、J&Jの分析を十分に精査する時間がなかったとした。既存の1回接種のワクチンについて、「依然として重症化や死亡に対する予防効果が得られている」とも指摘しました。

 2021年10月14日(木)



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