イギリスで最後の石炭火力発電所が30日、運転を終了します。温室効果ガスの排出量が多い石炭火力の全廃は先進7カ国(G7)で初めて。産業革命発祥の地であるイギリスが、1882年に世界初の石炭火力発電所をロンドンに開設して以来、140年余りにわたる歴史に終止符が打たれます。
運転を終了するのは、中部ノッティンガムシャー州にあるラトクリフ・オン・ソア発電所。ドイツのエネルギー大手ユニパーが運営し、1967年の完成後、周辺地域に電力を供給してきました。閉鎖後は2年かけて解体され、跡地には新たに水素の製造拠点が建設される予定です。
イギリス政府統計などによると、石炭火力は1990年にイギリスの電力供給の8割を占めていましたが、天然ガスや再生可能エネルギーの普及により、その比率は2023年に1・3%まで縮小しました。首位はガス(34・7%)、2位が風力・太陽光(32・9%)、3位が原子力(13・9%)となっています。
イギリス政府は2050年までに温室効果ガス排出量を「実質ゼロ」にする目標を掲げており、ラトクリフ・オン・ソア発電所の閉鎖も脱炭素化の流れに沿ったものです。
イギリス紙デーリー・テレグラフは、「(1882年以来)142年の時を経て、石炭の旅は終着点を迎えた」と報じました。
2024年9月30日(月)
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