■重い腎臓病の胎児にブタの腎臓移植、国内初の手術の計画書提出へ

 重い腎臓病の胎児にブタの腎臓を一時的に移植する国内で初めての手術を計画している東京慈恵会医科大学などのチームは、手術の計画書を4日、学内の審査に提出することになりました。順調に進めば、2025年度中に国に手術の実施を申請したいとしています。
 東京慈恵会医科大学と国立成育医療研究センターのチームは、生まれる前から腎臓が働かず尿が作れない「ポッター症候群」の胎児2人にブタの胎児の腎臓を移植する臨床研究の計画を進めています。
 動物の臓器を人に移植する「異種移植」が国内で行われたことはなく、チームは学内審査のために設けられた再生医療や生命倫理の専門家などでつくる有識者会議に4日、手術の計画書を提出することになりました。
 計画では、移植手術は出産予定日の約4週間前に行います。特殊な注射針で胎児の背中の皮下に、受精後30日のブタ胎児の腎臓(約2ミリ・メートル)を注入します。出産の数週間後、赤ちゃんが成長して透析治療を安全に受けられる体重になれば、ブタの腎臓を摘出して、10年間にわたり経過を確認するとしています。
 有識者会議では手術が安全に行えるかや、母親への説明など倫理面での配慮が十分かについて審査される見通しです。
 チームでは今後、学内や国立成育医療研究センターの委員会での審査を経て、順調に進めば来年度中に国に手術の実施を申請したいとしています。
 東京慈恵会医科大学の横尾隆主任教授は、「これまで命を落としてきた赤ちゃんの命をつなぐため、社会の理解を得ながら実用化に向けて進めたい」と話していました。

 2024年10月3日(木)

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