■マダニ媒介の感染症「SFTS」、長崎大がワクチン開発へ 国際組織が資金提供

 長崎大は10日、マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の発症と重症化を防ぐワクチン開発を始めると発表しました。4月から3年間で最大約7億5000万円の資金を感染症対策の国際組織CEPI(セピ)から提供されます。
 SFTSは重症化すると死に至る感染症。西日本を含む東アジアを中心に広がっているものの、有効なワクチンは開発されていません。今回の研究開発では人を対象にした臨床試験前までを想定し、成果を基に臨床試験や承認の手続きをへて実用化を目指します。
 新型コロナウイルスワクチンとしても使われる「メッセンジャーRNA(mRNA)」ワクチンの中から最適な候補を探るため、人工知能(AI)を駆使して遺伝子配列を解析。ワクチンを保護して細胞内に届ける「ナノボール」と呼ばれる長崎大独自の技術を活用します。AIとナノボールを組み合わせた技術は、パンデミック(世界的大流行)を引き起こす可能性がある新種の病原体などに迅速に対応できるとして期待されるといいます。
 長崎大感染症研究出島特区を中心に、AI技術を提供するNEC系のノルウェー企業と共同で研究開発を推進。同社が解析を担い、同大がナノボール技術を活用したワクチン開発と有効性を評価する前臨床試験を実施します。
 永安武学長は、「ワクチン開発の迅速化は将来のパンデミックへの備えとして極めて重要。今回の研究がその一翼を担えることを誇りに思う」とコメントしました。

 2025年3月14日(金)

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