■WHO、「アメリカの援助削減で感染症死者が大幅増」と推計 方針の見直し求める

 世界保健機関(WHO)は、アメリカが対外援助を大幅に削減した場合、エイズやマラリアなどの感染症による死者数が、大きく増えるという推計を明らかにし、ドナルド・トランプ政権が打ち出している削減方針の見直しを求めました。
 アメリカのトランプ政権は、アメリカ国際開発庁(USAID)による対外援助を一時停止した上、8割の事業を正式にやめることを明らかにするなど、国外への援助を大幅に削減する方針です。
 17日、スイスで記者会見したWHOのテドロス・アダノム事務局長は、「削減の影響は深刻で、すでにその兆候がみられる」と述べ、感染症対策の現場で深刻な問題が起きていると指摘しました。
 中でも、アフリカを中心に毎年多くの死者が出ているエイズ対策を巡っては、各国で治療薬が不足しつつあり、このままでは今年のエイズ関連の死者数は300万人と、昨年の3倍以上になるという推計を明らかにしました。
 また、マラリア対策においても、ウイルスを媒介する蚊を防ぐ蚊帳の供給停止などによって、今年の死者数がおよそ10万人増える恐れがあるとして、「これまでの歩みに逆行するものだ」と懸念を示しました。
 その上で、「アメリカは各国への援助を打ち切る場合、代わりとなる資金源を見付けられるよう、人道的な方法をとる責任がある」と述べ、アメリカに対し、削減方針の見直しを求めました。

 2025年3月18日(火)

この記事へのコメント