■塩野義製薬「ゾフルーザ」、インフルエンザ治療薬で首位奪回 「タミフル」「イナビル」上回る

 今冬に処方されたインフルエンザの治療薬で、塩野義製薬の飲み薬「ゾフルーザ」が処方シェアで首位となったことが26日、医療従事者向けサイトを運営するエムスリーの調査でわかりました。ゾフルーザは2018年の販売年以降はシェアが伸び悩んでいたものの、約6年ぶりに首位に返り咲きました。
 エムスリーが全国約6500のクリニックなどに調査した診療情報データベース「JAMDAS」によると、今シーズン(昨年11月13日〜今年2月18日)の統計で、ゾフルーザのシェアが36・4%に上昇。中外製薬が販売する「タミフル」とそのジェネリック医薬品(後発薬)は34・9%、第一三共の「イナビル」は26・7%でした。
 ゾフルーザは販売を開始した2018年度シーズンは46・4%と圧倒的シェアを誇ったものの、以降はシェアが低下し、2019年度から2022年度までは15%前後で推移。タミフルやイナビルに離され、3番手に落ち込んでいました。
 こうした中、塩野義製薬は昨年9月、世界規模の臨床試験(治験)の結果、ゾフルーザを投与することで周囲への感染抑制につながる効果が確認できたことを発表。抗ウイルス薬で感染を抑えるデータが治験で明確に示されたのは世界初で、エムスリーの担当者は「医療現場での需要が高まった可能性がある。昨年までと潮目が変わった」と指摘しました。
 塩野義製薬の担当者は周囲への感染抑制につながる効果の裏付けのほか、「1回の経口投与で効果があることが好まれている」と分析し、「今後も正確な情報提供と安定供給を含めて医療関係者や患者のニーズに対応できるよう取り組む」としています。
 今冬はインフルエンザが猛威を奮い、厚生労働省の全国約5000の定点医療機関からの報告で昨年12月下旬に1週間の患者数が31万7812人、1医療機関当たり64・39人と過去最多を記録するなど、警報レベルの流行が続きました。

 2025年3月26日(水)

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