■精子の正常な形成に必要なタンパク質複合体を発見 大阪大チーム、男性用経口避妊薬に期待

 精子が正常に形成されるためにはタンパク質同士が結合した複合体が必要で、欠いた場合は異常が起こることをマウスで突き止めたと、大阪大の研究チームが26日までにアメリカの科学誌「アメリカ科学アカデミー紀要」に発表しました。複合体がないと精子は頭部の根元が折れ曲がり、卵子と受精できないため、タンパク質の働きを阻害することで男性用経口避妊薬が期待できるといいます。
 チームによると、日本では年間約10万件の人工妊娠中絶が行われています。女性用には経口避妊薬があるものの、男性用の開発は成功していません。
 精子は頭部に細長いしっぽがついたような形をしています。チームがマウスのさまざまな遺伝子を操作したところ、Tex38という遺伝子を欠損させると子供が生まれず、精子頭部の根元が折れ曲がったようになるとわかりました。
 Tex38を基に作られたタンパク質は複合体を形成。この複合体が別のタンパク質に働き掛けて不要な細胞質を取り除き、精子の形を変化させていると考えられます。働きを阻害すると頭部に変形が生じたため、複合体が正常な精子を作るために重要な役割を持っていることが判明しました。

 2025年3月26日(水)

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